畑田 寿美子さん(仮名)

  (住所:神戸市 年齢性別:70才女性 職業:無職)


 朝夕めっきり秋らしくなりましたが日中はまだ残暑厳しい折、皆々様にはお変わりな くお過ごしのこととお慶び申し上げます。日頃お便りを頂きながらお返事もいたしま せず、ご無沙汰ばかり致しまして申し訳ございません。私も元気で日々すごさせていた だいております。変わったことと言えば、また猫の数が増えたことと、老人優待乗車 券を頂く年齢になったことぐらいです。

 震災より6年の月日が過ぎ、このあたりもかなり住宅が建ったとは言え、まだまだ空き 地が目立ちます。6年余りの月日が震災の時の恐怖、不安、辛さ等々の思いを少しはや わらげてくれたとは言え、復興の進まない空き地や地震のニュースを見るにつけて平 成7年1月17日の思いを消し去ることは出来ないと思います。だからといって何日ま でも震災の影を引きずって行くわけにもいかず、なんとか日々前向きに過ごそうと思 っています。
 地震の被害にあって苦しんでおられる人々は世界中にたくさんおられる ので、なぜ自分達だけがこんな目に遭い、辛い思いをしなければという気持ちだけは 持たないようにしようとも思っています。

 末筆ながら皆々様のご健康をお祈り申し上げます。
(2001年9月4日)


明けましておめでとうございます。日々ご活動ご苦労様でございます。 いつも気にかけていただき有り難うございます。

 新居に移りましてよりこれといって変わった事もなく筆不精も手伝ってお便りもせず ご無礼いたしております。早いもので今月末で新居に移りましてより一年になります。 犬一匹、猫十五匹と一緒に毎日を無事過ごしております。私の居住しております所も 区画整理の整地が終わり新築住宅もかなり増えました。毎日建築の音がにぎやかに響 いております。

 新居に移られた仮設当時のお方も風の便りで何人かお亡くなりになられたよし聞いて おります。辛く苦しい時を仮設で辛抱して乗り越えてこられて、やっと新居に落ち着 かれた頃に病を得てお亡くなりになられて、本当にお気の毒としか申し上げようがご ざいません。きっと五年の仮設暮らしの苦しみからやっと新居に移られてほっとした と同時にお疲れがどっと出たのではないでしょうか。

 私も人事ではなく十六匹のコ達のためにも毎日を元気に過ごしたく存じます。 これからますます寒さに向かう折柄、皆様方も御身大切にお過ごし下さいませ。かしこ
(2001年1月4日)


前略御免下さい。
 朝夕は少し気持ちのいい気温ですが、お昼はもう夏を思わせるような今日この頃ですね。「かみひこうき」プロジェクトのお陰で、今まで全く知らなかったお方から、心温まるお便りを頂くことが出来て、ほんとにうれしいし、楽しく思っております。今後もどうぞ頑張って下さい。出来ましたら同封の写真を高井様にお送り下さいますよう、お願いします。

高井様へ。
 お便り有難うございました。高井様もお元気のご様子で、何よりとお喜び 申し上げます。お陰様で、私も猫共々に元気で過ごしております。震災に よって生まれた特別な絆も、当時のままの気持がいつまで続くものか、 日々薄れるのではと感じております。
 ただ、猫が取り持つご縁で、今だにお一方だけ行き来を続け、毎朝電話 連絡をするお付き合いをさせていただいています。動物は、ほんとに人の 気持をやさしくしてくれますね。

 高井様の相棒さんは、どんなお子さんでしょうか。我が家の子は、男の子 9匹、女の子6匹、犬1匹の大家族だから、食事の時など大変ですが、 満腹になって、ぐっすり眠っている顔を見ると、ほんとに私の心もなごみます。
 新居にもすぐに慣れてくれたように思いますが、同封の写真のような所で、 自由に遊んでくれていたので、時々思い出すのが、玄関で出してくれと鳴いて いますが、交通事故のことを思うと、室内飼いに慣れてもらうしか仕方があり ません。
 震災で7匹の子を亡くしていますので、今度こそ天寿を全うさせてやりたいと 思います。高井様も相棒さんのこと、お聞かせ下さいね。
 では、お元気でお過ごし下さい。
(2000年5月15日)


 何時も励ましのお便りありがとうございます。 桜もこの暖かさで一度に開くことでしょう。

 今日4月7日、仮設を毎月訪問して下さっていた「ロバの会」の皆様方がふれ あいセンター閉鎖後1年目ということで当時仮設居住の方々に集い会を開いて招 待して下さいました。アンデス調音楽、バイキングのご馳走に、久しく会っていなかっ た人々が近況報告をしたり欠席者の安否を気遣ったり、ほんとうに和気あいあいの一 時を過ごすことが出来ました。楽しい一日でした。
 来年もまた会いたいねと再会を約して午後3時散会しました。一人一人の近況報告に よると、仮設を出てから交通事故にあって入院したとか、孫が中学校でいじめにあい、 不登校だとか、暗いお話もありましたが、皆様方はそれなりに落ち着いた生活を取り 戻しておられるご様子で何よりと思いました。
 ほんとうに楽しい一日を送れて幸せでした。
(2000年4月7日)


 先日私にとって嬉しいことがありました。
 かなり以前から木目込人形をたくさん作っていましたが、その人形も震災で皆焼けて しまいました。その焼け跡に職場の友人が見舞い方々来て下さって、焼けて見る影もな くなった人形の頭一つを見つけ、何をするつもりなのか持って帰られたのです。
 それから5年間そのことはすっかり忘れてしまっていましたら、先日焼けた人形の頭を使っ て、形こそ違いますがとても可愛い女の子の人形に仕上げて、新築祝いにと届けて下さっ たのです。それも、平成10年に退職した職場の皆様方でお金を出し合って作り上げて下 さったとのこと。本当に見る影もなく、私が人形の頭だと言わなければただの丸い土の 塊にしか見えない頭を、遠く埼玉県の人形屋さんに頼んで作ってもらったとのこと。
 新築の家に5年ぶりに帰ってきた人形の顔は、私が作った頃の顔そのままで、姿だけが変わっ て帰って来たのでした。頂戴するまで、友人も人形のことは一言も言ってくれませんで したので、届けて下さった時はほんとうに声も出ないくらいに驚いたのと嬉しいのと で、涙が止まりませんでした。

 震災後、多くの方々の暖かい心につつまれ、可愛い猫達と一緒に気ままに暮らせる私は、ほ んとうに幸せだとつくづく思った次第です。
 末筆ですが、お時間がお有りでしたら皆様で一度お立ち寄り下さい。
(2000年3月12日)


 いつまでも寒い日が続きますが皆様お変わりございませんかお伺い申し上げます。
 1月30日待ちに待った新居にやっと帰ることができ、5年間の苦労も消し飛んでしまっ た気分で荷物の片づけをしています。2月15日にトランクルームに預けていただいて いた荷物も届き、やっと片づいてほっとしてお便りする次第です。遅くなってすみま せんでした。

高井様へ
 お便りありがとうございました。引越の片づけでお返事が遅くなり申し訳ございませ んでした。
 区画整理の関係でまだまだ自宅再建できずに困っておられる方、家は建てたが換地の ためにまた立て直さなければならない方々が多い中、私は思いの外早く建築する事が 出来、猫共々に落ち着くことができましたので、こんなに嬉しいことはありません。 今までの苦労も悲しみもこの幸を得るための道中だったと思うと地震の暗い思い出も 私の頭の中から消え去ったように感じます。

 高井様も猫ちゃんとお暮らしとのこと。動物はほんとうに可愛いですね。新居も15匹 の子達によっていたるところボロボロにされて新築と言えないほどですが、猫達と一 緒に暮らしたいために建てたので腹も立ちません。この子達がいたから今までの5年 間を無事に乗り越えてこれたのだと思いますから、天寿を全うするまで何事もなく過 ごせたらと願うだけです。
 末筆ですが高井様方にも猫ちゃんがいますのでフードのお気遣いやお気持ちだけ有り 難くいただいておきます。まだまだ寒い厳しい折ですので、御身大切にお過ごし下さい。
(2000年3月2日)


新年明けましておめでとうございます。
 仮設に居住しておりました節には色々とお力添えいただきましてありがとうございま した。

 つくづく人間て強いなと思います。震災当時何もかも無くし、パジャマのまま命から がら逃げ出して、これから先どうなるのかとずいぶん心細い思いをいたしましたが、 人様の暖かい思いやりに助けられて今日を向かえることができました。
 避難所のつらさも知らず、わりと早く仮設に入居でき、5年目にはどうにか以前の生 活と変わらないほどの暮らしをすることができ、被災した者としてはまだ幸せだった ほうだと思っています。
 後を向けば悲しく辛いことばかりですから、前だけを見つめて日々を過ごしてきまし た。お陰でやっと新居完成の運びとなりました。一月末には入居出来るようになりま した。長かったような早かったような5年でした。

 身寄りのない私にとって、猫達がささえになってくれ、やすらぎをくれました。その コ達と一緒に新居に戻れるのが何より幸せと思います。
 長い間励ましていただき、本当に有り難うございました。
(2000年1月12日)


 震災後の行政について、何かもやもやとして納得のいかないものが常に心の中に不満として残っております。
 一つには区画整理です。苦労してやっと手に入れた土地(小さな土地)を無償で減歩されることです。同じ神戸市内でも、比較的被害の少ない所では区画整理がなく、全壊・全焼で何もかも財産をなくし唯一残った小さな土地を無償減歩される不公平さが納得行きません。
 二つ目は区画整理がなかなか進まないのに、仮設の入居期間を細かく区切り、一度公営住宅に移り区画整理まで待つようにと役所の職員がいちいち言いに来られることです。いずれ仮設は出なければ、永住出来る所ではないことは分かっていますが、出るように勧めるのであれば何度も引っ越しをさせるようなことをしないで、速やかに区画整理が出来ないものかと割り切れない気がします。
 三つ目には震災復興が遅々として進まない中で、神戸空港が本当に必要なのでしょうか。伊丹空港があり、関空が近くにあるのになぜ今の時期に神戸空港なのでしょうか。不安な被災者が本当に安心して落ち着いた生活が出来るようになってからでも、必要があれば空港を作っても遅くはないのではと思うのです。何か市長自身が在任期間中に功績を残したいと思う人気取りの気持ちから、ごり押ししている空港のように思えてなりません。
 数え上げれば釈然としないことがまだまだありますが、とりあえず以上が特に納得できない点です。 
(1998年12月16日)






畑田 寿美子さんへ届いた『かみひこうき』



1.川本 恵子さん(仮名:神戸市)

< こんばんは。始めまして。。。あれから、5年ということで、数日前から今日まで、テレビの特別番組が多く放送されておりました。そのお蔭で「かみひこうき」さんのホームページを知りました。
 私も東灘区深江で震災に会いまして、今は灘区に住んでおりますが、長かったような、短かったような、この5年でありました。
 私の娘は産まれつきの知的障害児で、出産と同時に医者から宣告を受けました。
母親として、なかなか立ち直れずにおりましたが、やっと、なんとか、物事を肯定的に考えられるようになった矢先の震災でした。
 震災当時、娘は三歳でした。いろんな事がありましたが、先日、満8歳の誕生日を元気に迎えることが出来ました。知的な能力の遅れは勿論、身体も弱いですし、手術などもありますが、それでも彼女の精一杯生きている姿を見て、親というより、人間として学ぶことが多くあります。
 娘の成長を目にする時、無事に生きてこられたことを感謝せざるを得ません。「命」という目には見えないけれども、この世で一番大切なものをこれからも、「宝物」として、大事にしていきたいと思っております。
 皆様も、この宝物を大切に・・・・精一杯良い人生を歩き続けられますように。。。。寒さが厳しくなってきます。何卒ご自愛下さいますよう。。。心より願っております。
(2000年1月17日)

2.高井智宏さん(仮名:岡山県)

 新居の完成おめでとうございます!
 大変な状況の中、ずっと猫達と一緒にがんばられてたとのことで、他の人にはわかってもらいにくい御苦労もあったと思いますが、畑田さんも猫達も報われて、自分のことのようにうれしいです。お祝に畑田さんのお宅の猫さん達のお好きなフードをお送りしたいぐらいです。(もしよかったら、何がお好きか教えてください。)
 自分も今、家族は猫だけなんですが、家にいる時はほとんどそばにいてくれたり、一緒に寝てくれたりしてずっと支えてくれています。違う種類の生き物同士で言葉も通じないのに、心が通じ合うというのは、この世で最高の感動の一つだと思います。これからもお互い、猫達に感謝しながら、楽しく暮らしましょう!
 では、寒くなって来てるんで、風邪などひかないよう気をつけてください。本当におめでとうございます!
(2000年1月24日)

3.高井智宏さん(仮名:岡山県)

 畑田さん、こんにちは。以前、「かみひこうき」を送らせていただいた高井です。新居での生活はいかがですか?
 人形(さん)の話、感動して何度も何度も読み返させていただきました。再会、おめでとうございます!そして、仮設時代のみなさんとの再会についても、辛い時、一緒にがんばった方々との特別な絆を感じて、胸が熱くなりました。来年もみなさんがお元気で再会されることを祈ると同時に、その話を聞かせていただくことを楽しみにさせていただきたいと思います。
 ところで、ネコさん達はお元気ですか?新居にはすぐ慣れたようでしたか? いろんな子がいて、それぞれだったのかもしれかもしれませんが、多分、どの子も畑田さんと一緒だったらどこでも平気なんだろうと想像させてもらってます(うちの相棒は前、東京からこちら(岡山)へ来た時、住むところが変わってもまったく気にしなかったです)。もしいつかお時間があったら、ネコさんの話もお聞かせください。
 では、ネコさん達のためにもお元気でお過ごしください。 心あたたまるお話をありがとうございます!
(2000年5月7日)

畑田さんへ『かみひこうき』を送る

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